この舞台、とにかく
アート。
装置、照明、音、衣装、メイク、そして動き、すべてがアート。
舞台は総合芸術とはよく言いますけど
バーコフ氏のこの舞台こそ総合芸術というに相応しい。
そして
森山未來くんの突き抜けた身体能力を活かした表現力。
未來くんだからできる"虫"の悲哀は心を揺さぶってくる。
グレゴールはお母さんにもっと愛されたかったのかな。。
未來くんのグレゴールからは
お母さんに褒めてもらいたい、認めてもらいたいというのが感じられる。
妹を音楽学校に入れるという話も、お母さんが喜ぶから・・・みたいな。
「お母さんに会いたい」という台詞だけじゃなく
壁越しに話しかけてくる母親の声を聞いて
ゆっくり近づいて壁にぴたっと身を寄せるグレゴールに
そんなことを感じた。。。
あ、未來くん結婚おめでとうございます。
パパになるとか。重ねておめでとう。
妹グレタは初舞台の
穂のかちゃん。
初舞台にしちゃえらくハードルの高い舞台を選んだもんだなと。。
でもあっさりクリアした印象ね。
声もパントマイムもちゃんと客席に届いてる。
度胸も含めて初舞台とはおもえない出来。
久しぶりの実力派の二世ですな。
お父さんは
永島敏行さん。
独善的で見栄っ張りなクソ親父。
くるりんヒゲと白塗りで頑張ってるんだけど。。
アートな世界にちょっとなじんでない。。
もちょっと動きをデフォルメしたほうがいいと思う。
クソ親父には見えましたけど。。
お母さんは
久世星佳さん。
久世さん出てなかったら観てなかったかもしれない。。カフカだから。。
いや~観といて良かった舞台だったんで感謝。
グレタと並ぶとミニー母娘みたい。。
息子は可愛いの、でも"虫"・・・
かまってあげたいの、でも"虫"・・・
みたいな相反する母親の気持ちがよくわかる。
「自由になりなさい」の中には
グレゴールに対する愛情と
これで普通に暮らせるという安堵感があった。
ちょっとしか出番のない主任の
福井貴一さん、
下宿人の
丸尾丸一郎さんも
バーコフ氏の作り出した世界観をしっかり表現。
余談ですが。
丸尾さん所属の劇団鹿殺し。
演劇人たちからの評判がえらく高い。
劇団名でちょっと引いてたのもあって観たことないけどどんなんなのかね。。
いつか機会があれば。。
そうそう、グレゴールはいったいどんな虫に変身したんだと。。
本を読んだ印象ではイモ虫とかムカデのような足のいっぱいある虫っぽかった。
未來くんの"虫"はクモっぽい。
ま。
カフカは何の虫かをはっきりさせたくなかったみたいなので。
それぞれが思い描いた"虫"ということで。。