そんなチグハグ感漂う中、
鳳蘭さんと
三田和代さん、
一行さんはじめ、バラ戦士の人たちは超好演。
鳳さんの俊と三田さんの景子は空襲から時間が進んでないんだな。。たぶん。。
どっちも会う事に恐怖を感じてはいるけど
昔の華やかで幸せだった頃に戻れるなら戻りたい。。
戻れないことは二人ともちゃんとわかってはいるんだけど。。
一夜だけ、やっと戻れた夜に。。。
いわゆる「リアル『ロミオ&ジュリエット』」
鳳さんを観るのは初めてだったけど
出てきただけで客の眼を引きつける求心力は並外れてる。。
こういうのをスターというんだな。。。
俊の時と、俊がロミオを演じる時の
俊の中の血の流れ具合の違いがはっきりわかる。
空襲からずっと眠り続け、時が止まったまま目覚めた景子の三田さん。
何かに脅えながら俊を待ち続ける、イッちゃった表情がすごい。
俊の妹に現実を突きつけられた後の表情。
あそこは口では言い表せんくらい絶品でした。
バラ戦士たちの「ふうこちゃん命」はほほえましい。
死んだバラ戦士の息子の横ちんもいつの間にかふうこさんに傾倒してるし。。
意外と言っては失礼だけど、めっちゃ感心したのが
中川安奈さん。
一行さん演じる館長の義理の妹。
再結成した少女歌劇の振付を担当して
まだ来ない俊の代役も務める。
振付師にしては踊りが上手いとは言えんが。。
芝居は「紙屋町さくらホテル」の頃に比べて格段に上手くなっとる。
ロミオに扮した安奈さんはむちゃくちゃかっこいいし。
劇団の歌姫、
毬谷友子さん。
二曲だったか、歌うんだけど。
すげえよ。。マジチョーすげえよ。。
この人の歌聞くだけでも価値がある。
これだけ好演者がいりゃ面白い舞台になりそうなもんだが。。
女装が話題のウエンツ瑛士くん。
チケ取りの時、蜷川×清水以外にウエンツも観てみたいと思ったんだけど。
・・・あの役必要ですか?
横ちんとウエンツくん兄弟ってさ、兄弟の必要ないっていうか、
二つの役を一つにして横ちんかウエンツくんかどっちかにやらせりゃいいと思うんだけど。
カテコの順番もおかしいしな。。
一行さんと一緒に出てくる扱いは役的に変だよ。
大人の事情ってやつでしょうがね。
けっこういい演技するんだからさ、
取り立てて特別扱いする必要なかろうに。。
ま、清志郎の歌でカテコなんざ吹っ飛んだからいいけどね。
俊の妹、実は娘の
真琴つばささん。
こりゃあかんわ。。。
芝居の質がまわりと全然調和しとらん。
劇中劇並みに演技と存在が浮いてる。
それから発声が安定してないのも原因だろうけど
怒鳴る芝居になると台詞がほとんど聞き取れん。
若い頃の俊にそっくりって設定なら
いっそ文学座準座員の鳳さんの娘さんにやらせりゃよかったんじゃないか?
それからジュリエットたち。。
ほとんどの人は蜷川さん得意のコロス的な存在の意味を理解してるようだけど
一部に明らかにわかってない人がいる。。
俊と景子の最期の後。
安奈さんの夏子とジュリエットたちがイッちゃったのはなんで?
演じること=狂気って事?
ん~ようわからん。。。
『ぼくらが非情の大河をくだる時』並のわけわからん終わりじゃった。。
清水作品らしい言葉の美しさはところどころ感じるけど
それが題材とマッチしてないような気がした。。
HP特集の
蜷川さんインタビューを読んでて。。
初演失敗ってのがなんとなくわかる気がした。。
「美しくて、激しくて、ノスタルジックで、闘争的で」
たしかにそんな舞台だけど。。。
やっぱりいろんな意味でチグハグ感はぬぐえない。。