で、その演出はというと。
実力派キャストを揃えた甲斐あって
無難にこなしたって感じかなぁ。
冒頭の映像はケラさんぽくてニヤけたけどね。
わりと正統派な演出だったかな。
あ、一幕の終りを二幕冒頭で巻き戻しっぽく繰り返すのは面白かった。
これから演出もやっていくのかね。
ザ・段田演出!的な色がもうちょっとあるといいかも。
ストーリーがよくできてるってことで
演出家としての作品選びの目は確かだよね。
まあ、ひとりで決めたわけじゃないだろうけど。
北村女史も演出家一発目に失敗させたくないだろうから助言しただろうしね。
てな感じで無難な演出家デビューでしたな。
婚約祝いの食事会の後に
くつろぐために舞台となる応接間に入ってくる。
これがなんともわざとらしいくらい明るい。
こいつら、なんかうさんくさいなー
と思わせる演出は成功してる。
成り上がり一家とそこの娘の婚約者だから
いきなりの来訪者にも最初は強気。
相手が警官だから公安委員の肩書きチラつかせたりね。
そこから徐々に冷静に一家を追い詰めていき
立場を逆転させていく警官の段田さんはさすが。
高橋克実さんは秋吉家の主、兼路。
無駄に虚勢を張りたがるおじさん。
いやぁ、舞台の克実さんはかっこいい。
偉そうだけど奥さんの尻に敷かれてて
成り上がりの嫌なおじさんなのになぜかかっこいい。
その奥さんが
渡辺えりさん。
迫力あるわ~~~
確実に秋吉家はこの和枝さんが牛耳ってる。
和枝さんが旦那の尻を叩いてきて今の生活があるに違いないと思わせる。
長女の千沙子が
坂井真紀さん。
長男の兼郎が
八嶋智人さん。
姉弟だけど見た目的には逆だよなぁ。
「姉さん」「かねちゃん」と呼んでるのにちと違和感。
実際には同い年なんだけどね、
どうしてもヤッシーが上に見えるでしょ。
坂井さん童顔だし。
世間知らずのわがまま娘とぐーたら息子。
世間知らずってのがポイント。
世間の荒波を生き抜いて今の地位と財産を築いた両親と
甘やかされて育ってきた、ある意味ピュアな娘と息子。
この違いが自分のやってしまったことを暴かれた時の反応の違いだね。
そしてどっちの要素も持ってるのが
千沙子の婚約者の良三。
岡本健一くんはいい人な部分も腹黒い部分もちゃんと表現。
去年だっけか、太宰治やってた時からはずいぶんフケたなー
役者としてはそれも良し。
役の幅は広がるもんね。
この芝居を観る前はね、
段田さんと梅沢さんの絡みを楽しみにしてたのね。
私的には二大名優と位置付けてるもんで。
ところが絡みいっさいなし。
その上、梅沢さんの出番が少ない。。
女中のゆみさんがどこまでこの一家に入り込んでるのか、
どこまで一連の出来事を知ってるのかわからずじまい。
もったいないなぁ。。
しかしながらこの芝居は観といてよかった。
そう思わせてくれる舞台でした。