ラストは後ろから見たらどうだったんだろ。。
四角い装置が上がって・・・庭で朝食をとる一家。
装置は上にぶら下がったまんま。
あれにはまだまだこの一家には重石があるみたいな意味もあるとは思うけど。
なんか見た目スッキリしないんだよね。。
まだ試練はあるぞーってのは客にはわかってるんだし
いっそ取っ払うわけにはいかなかったのかな~。
場の繋ぎもちとかったるい。
PARCO劇場ってのは濃密なようで
意外に空気が拡散しやすい劇場だと思う。
舞台上にすき間がありすぎてはいかんと思う、物理的な意味じゃなくね。
すき間が多すぎたんじゃないかなぁ。
四角い装置が回転するのはいいんだけど
KERAさんやいのうえさんみたいにフルに活かせてない気がする。
そのせいかどうか、テンポもよくなかったしなぁ。。
役者さんたちの芝居が感動的に上手いだけに
それを活かせなかったのがもったいなかった。
出演者は素晴らしい。
文句のつけようがないです。
二役やる人が多いけど、皆さん見事です。
小林聡美さんのハーパー。
本来、聡美さんには合わない役なんじゃないかと思う。
そこを力技というか、演技力でカバーしたというか。
母親アリソンとの絡みは地味に凄かった。
そういえば舞台で観るのはじめてかも。。
ドラマの『すいか』とか映画の『かもめ食堂』とか
地味ーに好きなんだよね。
山崎一さんは夫のセスと出会い系サイトで知り合ったジェームスの二役。
性犯罪者リストに載ってしまって仕事のないセス。
決して投げやりになってるわけじゃないけど
セスもハーパーと同じで行き詰ってんだなぁ。。
山崎さんはセスの思いをさりげなく伝えてくる。
ジェームスにしても人物像がよくわかる。
わざとらしい演じ分けとは無縁だし、
さりげないのに明確に伝わってくる・・・上手いなぁ。
美波ちゃんは娘のセーラと看護士ジャスティーン。
多感な17才、ゴス系ファッションのセーラ。
派手目の髪型で彼女もちょい行き詰り気味。
パパもママも好きだけどイラっとする時もある。
可愛いなぁ。。細いなぁ。。。
そして上手いっす。
セーラで引っ込んだ直後に
地味な看護士で出て来た時は単純にすげーって。
もうすっかりファンモード。
パワハラ上司と母親の再婚相手の二役は
大河内浩さん。
冒頭でいい人ぶる嫌~な上司をやったかと思えば
二幕では素朴で気のいいおじさん。
ん~やっぱり上手い。
ハーパーが立ち寄ったバーの客ミッキーを
福田転球さん。
めっちゃ久しぶりに見た~転球さん。
いつぐらいぶりかもうわからんわ~
相変わらずちょい悪が似合いますなぁ。
ワンシーンだけの登場は個人的には物足りんけど
らしい芝居が観れたから良しとしますか。
間宮祥太朗くん。
初舞台だそうで。なんとまだ17才。
初舞台にして二役なんですが、これが超上手い。
ハーパーが街で出会った青年トビアス。
これは大人ぶった冷めた感じの青年で実年齢と同じ17才、
素に近いものがあるかもしれないので演じやすかったかも。
もう一つは母親の再婚相手が雇ってる弟子のマヘーシュ。
すこし知的障害がある感じの男の子。
トビアスとは違うピュアな雰囲気を上手く出してた。
末恐ろしい17才です。
そしてハーパーの母親アリソン。
木野花さんです。
ハーパーは両親との絆が希薄で。
アリソンのこともずっと誤解してきたんだけど。
誤解を解く機会もずっとなかったのね。
で、父親の危篤、死をきっかけに
ずっと溜め込んでたわだかまりとか誤解が解けていく、というか熔けていく。
木野さんのアリソンは娘に誤解されそうな不器用さがあって、
しかもその裏に愛情深さもあるのね。
ん~素晴らしい。
この母と娘のシーンがあって
「この世に確かなことなんて一つしかないと思う。何も確かなものなんかないってこと」
っていうセリフに繋がって、ラストに繋がるわけですよ。
戯曲としてもようできてたんだなぁ。。
もっと客の眼をぐっと惹きつける舞台空間になっていれば。。
ものすごい傑作になっていたのに。
やっぱり惜しいです。。