よくできたストーリーだし、脚本ですよね。
トッド(
市村正親さん)がロンドンに帰ってきてから床屋を開くまでの流れ、
トッドがどんな目にあってきたのか、
彼と登場人物の関係性などがわかりやすく描かれてて(除:乞食女)
しかもまったくといっていいほど淀みがない。
不気味なメロディとともにトッドが殺人鬼になっていく様子が
リアリティを持って描き出されていく。。
脚本も音楽も演出も上手くできてるし。
市村さんも
大竹しのぶさんも他の出演者もみんな上手い。
閑話休題…
たぶん出演者の皆さん、かなり歌は大変だったろうと思う。。。
歌うのに難しそうな歌ばっかりだもん。
しかしね、役になりきって歌う歌はいいもんです。
この手の歌を朗々と歌い上げられちゃたまらんです。。
まずいパイ屋の女主人・ラヴェット夫人(大竹さん)の人となりや
復讐に燃える男の怒りと悲しみや
乞食女(
キムラ緑子さん)の束の間の幸せと悲しい過去やらが
ビシバシ伝わってきた。
実はこの「スウィーニー・トッド」は悲しい愛の物語です。
トッドだけじゃなく、すべての役の愛の物語で、
敵役的存在のターピン(
立川三貴さん)も例外じゃなく、
歪んだ愛に動かされてしまう。
それが悲劇を呼び、ラストの死体だらけに繋がるわけですが。
トッドは娘・ジョアンナ(
ソニンさん)に会うのを願ってるのに
会った時は娘と気づかないまま手にかけようとする。
秘密を知られたために殺してしまった乞食女が
実はトッドの妻・ルーシーだった。。。
妻子のための復讐だったのに…
ミセスラヴェットもそれを黙ってたことで釜の中に突き飛ばされちゃうし。。
妻を殺してしまった激しい後悔と悲しみに
カミソリを手にしたトバイアスに首を向ける…
トッドはまわりを冷静に見ることができなかったんですなぁ…
そういえばこの作品の登場人物は皆、何かに取り憑かれてるようにみえる。。
復讐だの色欲だの金欲だので凝り固まってる登場人物のなかで
たった一人清涼感を放つ人物がトバイアス(
武田真治さん)。
最初出てきたときは小柄な新納くんかと思った(^^;)
声似てません?
ま、それはともかく。。
トビーは純粋に無償の愛をミセスラヴェットに捧げちゃうんですなぁ。。
これも結構悲しいよ。。
トッドの首をカミソリで切ったあと、
ラヴェットが燃え盛る釜の中にいるのも知らず
ラヴェット夫人に言われたオイシイ肉のひき方を復唱しながら
肉ひき機を回すトビーの姿は切なかったなぁ。。。
うわ、ここまで長ぇ~
一番感心したのは乞食女の存在。
事前にちょっと考えればわかるのかもしれないけど
床屋に入ってからのソロを聞くまで
トッドの妻なんて思いもしなかったもんなぁ。。。
キムラさんが上手すぎるんだ、これが。
つか、長くなりすぎなのでまた明日。